ただ一つのあざから児童虐待を特定できるか
Single Bruise Characteristics Associated With Abusive vs Accidental Injury
背景
TEN-4-FACESpは、乳幼児の挫傷が虐待によるものである可能性を評価する臨床意思決定ルールである。以前の検証研究では、乳幼児の挫傷部位(TEN FACES)・年齢(4)・挫傷の形状パターン(p)から、高い精度で被虐待児を特定可能であることを実証している(http://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2021.5832)。
アメリカAnn & Robert H. Lurie Children's Hospital of ChicagoのRautらは、皮膚所見で挫傷を1箇所しか有さない小児でも、このルールが同様に有効であるかを検証するため、二次解析を実施した。
結論
挫傷が1箇所の患児349名のうち、27名が専門家パネルにより虐待外傷と分類された。
TEN-4-FACESpの感度は81.5%、特異度は87.6%であった。虐待と分類された患児は、(1)より若齢で、(2)傷害を主訴としての来院ではなく、(3)挫傷部位がTEN-4-FACESpの陽性部位と一致し、(4)GCSが低く、(5)心理社会的リスク因子(警察・司法・児童保護サービスの関与歴など)を有する可能性が高かった。
評価
あざが1箇所のみの患者であっても、TEN-4-FACESpは一定の精度を示した。
虐待のスクリーニングツールとして有効とみられるが、2割程度は偽陰性となるため、陰性例でも精査は必要である。