敗血症患者での免疫調整薬thymosin α1は利益無し:TESTS試験
The efficacy and safety of thymosin α1 for sepsis (TESTS): multicentre, double blinded, randomised, placebo controlled, phase 3 trial
背景
敗血症では炎症反応だけでなく、免疫抑制の存在が予後に影響を与えていると考えられるが、免疫調節療法は有効か?
中国Sun Yat-Sen UniversityのWuらは、同国22施設で2016年から2020年に敗血症(sepsis-3基準)の診断を受けた成人患者を、12時間おき7日間の免疫調整薬thymosin α1、またはプラセボ投与へと割り付け、28日死亡率を比較する第3相RCT、TESTS試験を実施した(n=1,106)。
結論
28日全原因死亡率は、thymosin α1群で23.4%、プラセボ群で24.1%であった(ハザード比 0.99)。二次アウトカムおよび安全性アウトカムについても群間差は認められなかった。
事前に指定されたサブグループ解析では、年齢および糖尿病の有無によってthymosin α1の効果に差がある可能性が示唆された。
評価
Thymosin α1は敗血症患者の生存率を改善しなかった。ただし、サブグループ解析の結果は、高齢、あるいは基礎疾患のある患者でのベネフィットを示唆した。
これらの患者でthymosin α1がT細胞疲弊を軽減する、という有効性メカニズムは理にかなっており、追加の検証が行われるかもしれない。