AFを伴う高齢HIV患者にはアピキサバン
Comparative Bleeding Risk in Older Patients With HIV and Atrial Fibrillation Receiving Oral Anticoagulants

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
JAMA Internal Medicine
年月
February 2025
Online first
開始ページ
Online first

背景

心房細動(AF)を伴う高齢HIV患者において、より安全な経口抗凝固薬(OAC)は。
アメリカBrigham and Women’s HospitalのLinらは、同国メディケアのデータを用いて、非弁膜症性心房細動(NVAF)を伴う50歳以上のHIV患者におけるワルファリン・リバーロキサバン・アピキサバンの出血リスクを比較する後向コホート研究を行った(ワルファリン vs. アピキサバン 2683名、リバーロキサバン vs. アピキサバン 2,176名、リバーロキサバン vs. ワルファリン 1,787名)。
一次アウトカムは、大出血による入院であった。

結論

一次アウトカムの発生は、ワルファリンがアピキサバンより高く(HR 2.60, 消化管大出血: 2.99)、この関連は、同時に抗レトロウイルス療法(ART)を受けている患者(71%)で強かった(6.68および5.28)。
リバロキサバンはアピキサバンより、大出血(2.15)および消化管大出血(3.38)の発生リスクが高く、ART治療を受けている患者ではより強く関連した(4.83および4.76)。リバロキサバンとワルファリンでも同様の結果が得られた。全OAC間で虚血性脳卒中発生率・死亡率に有意差は認められなかった。

評価

AFを伴う高齢HIV患者におけるOACの安全性を比較した初の研究である。ARTとOACの間に薬物相互作用がある、という仮説があり、特にARTはワルファリン代謝に影響して副作用を引き起こす、という研究があり、ここでの結果もそれを裏書きしている。アピキサバンの優位を示し、ガイドラインにインパクトをもつ結果である。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)