AFを伴う高齢HIV患者にはアピキサバン
Comparative Bleeding Risk in Older Patients With HIV and Atrial Fibrillation Receiving Oral Anticoagulants
背景
心房細動(AF)を伴う高齢HIV患者において、より安全な経口抗凝固薬(OAC)は。
アメリカBrigham and Women’s HospitalのLinらは、同国メディケアのデータを用いて、非弁膜症性心房細動(NVAF)を伴う50歳以上のHIV患者におけるワルファリン・リバーロキサバン・アピキサバンの出血リスクを比較する後向コホート研究を行った(ワルファリン vs. アピキサバン 2683名、リバーロキサバン vs. アピキサバン 2,176名、リバーロキサバン vs. ワルファリン 1,787名)。
一次アウトカムは、大出血による入院であった。
結論
一次アウトカムの発生は、ワルファリンがアピキサバンより高く(HR 2.60, 消化管大出血: 2.99)、この関連は、同時に抗レトロウイルス療法(ART)を受けている患者(71%)で強かった(6.68および5.28)。
リバロキサバンはアピキサバンより、大出血(2.15)および消化管大出血(3.38)の発生リスクが高く、ART治療を受けている患者ではより強く関連した(4.83および4.76)。リバロキサバンとワルファリンでも同様の結果が得られた。全OAC間で虚血性脳卒中発生率・死亡率に有意差は認められなかった。
評価
AFを伴う高齢HIV患者におけるOACの安全性を比較した初の研究である。ARTとOACの間に薬物相互作用がある、という仮説があり、特にARTはワルファリン代謝に影響して副作用を引き起こす、という研究があり、ここでの結果もそれを裏書きしている。アピキサバンの優位を示し、ガイドラインにインパクトをもつ結果である。