アメリカ妊婦の心血管健康格差は、教育の公平化で縮小できる
Determinants of Racial and Ethnic Differences in Maternal Cardiovascular Health in Early Pregnancy
背景
アメリカでは、妊婦の心血管健康(CVH)に大きな人種間格差があるが、教育の公平性を達成することで、格差を埋めることができるか。
アメリカNorthwestern UniversityのCameronらは、nuMoM2bコホート参加者9,104名(単胎妊娠)を対象に、CVHの人種的・民族的差異が個人および近隣レベルの要因(年齢・社会経済特性・心理社会要因・出生地・人種差認識・地理的剥奪指標[ADI])の差異によって、どの程度説明されるかを分析した。参加者は、ヒスパニック18.7%、非ヒスパニック系黒人(NHB)15.6%、非ヒスパニック系白人(NHW)65.8%であった。
結論
平均CVHスコアは、ヒスパニック、NHB、NHWで各76.7、69.8、79.9であった。個人および近隣レベル要因により、ヒスパニック群とNHW群のCVHの差がすべて説明され、NHW群とNHB群の差の82%が説明された。教育達成度は、CVHの差異の最大の割合を占めた。
ヒスパニックおよびNHB群で、平均就学年数がNHW系(15.8)群と同年数であれば、平均CVHスコアは前者で2.98ポイント、後者で4.28ポイント高くなった。
評価
CVHは、肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙等個人の心血管リスクファクターに関連し、母体の低CVHは児のCVHリスクを7.82倍にする(https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2776329)。
この研究は、著者らによる非妊娠成人を対象とした研究(https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.122.061991)と同様の結果を示し、CVHの格差が、人種や民族を問わず、教育の公平性を達成することで縮小できることを示唆した。