非LVO脳卒中へのEVTは有害無益:ESCAPE-MeVO
Endovascular Treatment of Stroke Due to Medium-Vessel Occlusion
背景
大血管閉塞(LVO)脳卒中に対する血管内治療(EVT)の安全性と有効性がESCAPE試験で示されているが(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1414905)、非LVO脳卒中に対するEVTの有効性は。
カナダUniversity of CalgaryのHillら(ESCAPE-MeVO)は、中血管閉塞による虚血性脳卒中患者530名(画像診断基準を満たし、健康であると最後に診断されてから12時間以内)を、EVTと通常治療の併用または通常治療単独群に割りつけ、これを検証するRCTを行った。
一次エンドポイントは、90日時点におけるmRS評価であった。
結論
一次エンドポイントにおいて、EVTの一次エンドポイント効果を認めなかった。事前指定サブグループ間比較でも、明らかな異質性は観察されなかった。
9日後の全死因死亡率はEVT群で13.3%、通常治療単独群で8.4%であった(調整ハザード比 1.82)。症候性頭蓋内出血は、EVT群で5.4%、通常治療単独群で2.2%に発生した。
評価
NEJMは同一テーマのDISTAL・DISCOUNT結果を同時掲載しており(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2408954; https://clinicaltrials.gov/study/NCT05030142)、このESCAPE-MeVOを含む3試験により、非LVO脳卒中への血管内治療アプローチは否定されることになった。LVOへの有効性を示した同グループによる否定的結果には重みがあり、また追加処置による死亡・症候性頭蓋内出血のリスク増は印象的である。