GLP-1RA使用患者での上部消化管内視鏡検査は安全か
Glucagon-like peptide-1 receptor agonists and upper endoscopy: a real-world experience
背景
GLP1受容体作動薬(GLP-1RA)の使用増加により、その胃内容物排出抑制作用による内視鏡検査の安全性に対する懸念が生じている。
アメリカBrigham and Women's HospitalのJirapinyoらは、食道胃十二指腸内視鏡検査(EGD)を受けた肥満患者629名を対象に後向研究を行い、GLP-1RAがEGDに与える影響を評価した。参加者をEGD前にGLP-1RAを休薬した患者(GLP-HELD)と休薬しなかった患者(GLP-CONTINUED)に分類した。
一次アウトカムは技術的成功であり、EGDを中断することなく、完了することと定義された。
結論
一次アウトカムは、両群同等であった(GLP-CONTINUED 1.4% vs. GLP-HELD 0%)。二次アウトカムの胃内容残留率でも群間差はなかった(GLP-CONTINUED 6.4% vs. GLP-HELD 2.7%)。両群で誤嚥イベントは発生しなかった。
評価
この問題に関しては、待機的全身麻酔下手術の術前絶飲食を行った患者を対象に胃超音波検査を行い、GLP-1RA使用の有無で胃残留物(RGC)を比較した横断研究があり、GLP-1 RA使用患者は、ガイドラインによる術前絶飲食を行ったにもかかわらず、RGCが多かった、としていた(https://jamanetwork.com/journals/jamasurgery/article-abstract/2815663)。700名を対象とする実地調査で、EGD検査実施には影響しない、という結論を導いた。