安定胸痛患者管理におけるCCTAの有益性を確認:SCOT-HEART10年結果
Coronary CT angiography-guided management of patients with stable chest pain: 10-year outcomes from the SCOT-HEART randomised controlled trial in Scotland
背景
2018年にSCOT-HEART研究は、標準治療へのCT冠動脈造影(CCTA)併用が、5年間の冠動脈疾患死または非致死的心筋梗塞のリスクを激減(41%)させることを報告して、多大なインパクトを与えた(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1805971)。
イギリススコットランドUniversity of EdinburghのWilliamsらは、SCOT-HEARTの10年結果の分析を発表した(n=4,146)。
結論
中央値10年の追跡で、冠動脈疾患因死亡または非致死的心筋梗塞は、標準治療のみと比較してCCTA群でより頻度が低かった(6.6% vs. 8.2%)。この差異は主に、非致死的心筋梗塞(4.3% vs. 6.0%)・MACE(8.3% vs. 10.3%)がCCTA群で有意に低頻度であったことによってもたらされた。冠動脈血行再建実施率は両群同等であったが、予防療法の実施はCCTA群の方がより多かった(55.9% vs. 49.0%)。
評価
安定胸痛患者に対するCCTAの有益性を検討したRCTのほとんどは、追跡期間2〜5年でのアウトカム評価であり、ここでの追跡期間10年は最長である。長期・持続的な利益は、主に致死的心筋梗塞の発生率低下によってもたらされているようであり、CCTAの主な利点が、予防措置の導入が早くなることにあることが示唆される。SCOT-HEARTのメッセージを確定する結果とみえるが、Lancet Editorialは、「SCOT-HEART結果は実践変更的だったが、全体的イベント数が少ない。最終結論には未だ疑問が残る」、としている。