救急ドクター・救急隊員のストレス反応と回復
Assessing the psychobiological demands of high-fidelity training in pre-hospital emergency medicine
背景
救急医療サービスは極限状況への対処が求められる高ストレス環境であり、救急医療従事者の半数以上が燃え尽き症候群(バーンアウト)を経験しているとも言われる。
イギリスNorthumbria UniversityのWetherellらは、間に2日間の休日を挟む合計12日間の病院前救急医療トレーニングに参加した医師・救急隊員(n=27)において、心理学的不安尺度の報告、スマートウォッチによるバイタル測定、唾液サンプルの採取を連日行い、現実度の高い(high-fidelity)トレーニング中の心理生物学的反応を評価した。
結論
状態不安、認知不安、身体不安、自身、予測された要求、実際の要求、心拍数・心拍変動に基づくストレス測定値、起床時の唾液コルチゾールレベル、起床時コルチゾール反応(CAR)はいずれも日によって有意に変動した。
休日には不安、ストレス、心配のレベルが最も低下し、自信、コーピング、コントロールは最大となった。心拍数やコルチゾールレベルなど、生物学的指標でも同様の傾向が認められた。
評価
複雑かつ高ストレスなトレーニングコースにおいてストレス反応を検証した研究で、高負荷なトレーニング日には強い心理生物学的反応が引き起こされること、休日には不安・ストレスからの回復がみられることを明らかにした。
こうしたストレス反応が蓄積すれば、当然バーンアウトのリスクは高くなると考えられ、適切な回復期間の設定が重要になるだろう。