宇宙での心肺蘇生には自動式心マッサージ器を使うのが良い
Manual versus automatic chest compression devices for cardiopulmonary resuscitation under zero gravity (The MACCC - 0G STUDY)

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Resuscitation
年月
October 2024
203
開始ページ
110385

背景

現在までのところ、宇宙空間で心肺蘇生を必要とする医療事象は発生したことがないが、民間宇宙開発の加熱により現実性のある問題となっており、2020年には初のガイドラインも策定されている(https://doi.org/10.1186/s13049-020-00793-y)。
フランスHopital BraboisのReynetteらは、放物線飛行により疑似的な無重力状態を体験できるNovespace社のエアバスA310 Zero-G上で、3種の自動式胸骨圧迫デバイス(LUCAS 3、AUTOPULSE、EASYPULSE)と用手による胸骨圧迫(反対側の壁に足をつけて行う逆立ち法)を比較する前向対照研究を実施した。

結論

圧迫の深さ(中央値)はLUCAS 3で53.0 mmと、EASYPULSEの29.0 mm、AUTOPULSEの29.0 mm、用手圧迫の34.5 mmを上回った。
圧迫のテンポは、LUCAS 3が毎分101回、EASYPULSEが100回、AUTOPULSEが80回であったのに対し、用手圧迫では毎分115回と、有意に速い圧迫テンポがもたらされた。

評価

無重力状態での心マッサージにおいて、心肺蘇生ガイドラインを満たす十分な圧迫深度を得られたのは自動式デバイス、中でもLUCAS 3のみであった。
結論において著者らは、自動心マ器に無重力用モードの実装を期待している。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)