重症TRのTEER治療:TRILUMINATE Pivotal結果を拡大コホートで確認
Tricuspid Transcatheter Edge-to-Edge Repair for Severe Tricuspid Regurgitation: 1-Year Outcomes From the TRILUMINATE Randomized Cohort
背景
TRILUMINATE Pivotalは、重度三尖弁逆流(TR)に対するTriClipデバイスを使用したT-TEER(三尖弁経カテーテルedge-to-edge修復術)のランドマーク試験(https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2300525)で、同デバイスの承認につながった。
アメリカMount Sinai Health SystemのTangらは、TRILUMINATE Pivotal基幹コホート350名とその後の追加登録者222名を対象として、T-TEERの安全性・有効性を検証した(1年間, 対照:薬物治療)。
一次アウトカムは、全死因死亡・三尖弁手術・心不全入院(HFH)・1年後のQOL(KCCQ評価)の複合である。
結論
一次アウトカムはコホート全体で達成された(win ratio 1.84)。1年の全死因死亡と三尖弁手術非施行に群間差はなく、年間HFH率にも群間差はなかった。QOLの改善は、T-TEER群が有意であった(52.3% vs. 23.5%)であった。
二次アウトカムでもT-TEER群が有意であった(30日時点での中等度以下のTR:88.9% vs. 5.3%, 1年のKCCQの変化:13.0 vs. −0.5ポイント, 1年後の6MWDの変化:1.7m vs. −27.4m)。T-TEER群の重大有害事象発生率は98.9%で、パフォーマンス目標の90%を上回った。
評価
NEJM掲載の原報告に対してあった、効果がソフトアウトカムに限られている、という批判に応えて行われた、拡大RCTである。やはり全死因死亡と三尖弁手術非施行で差はみられなかったが、6MWDの大幅な改善は「ソフト」とも言えない。CIEDリード線の有無のアウトカムへの影響も否定されており、原報告への評価を固めた結果と言える。長期結果が注目される。