救急車の運転手はアルツハイマー病による死亡が最も少ない
Alzheimer’s disease mortality among taxi and ambulance drivers: population based cross sectional study
背景
クリスマスシーズンのBMJ誌では、毎年、風変わりで捻った着眼点の医学論文が複数掲載される。
アメリカHarvard Medical SchoolのPatelらは、死亡証明書データを基にした集団ベースレジストリ、National Vital Statistics Systemを利用し、タクシー運転手と救急車の運転手、およびその他441種の職業について、アルツハイマー病による死亡の割合を評価する横断研究を実施した。
結論
職業情報を伴う死亡者8,972,221名のうち、3.88%にあたる348,328名が死因としてアルツハイマー病が記載されていた。これに対して、タクシー運転手は1.03%、救急車の運転手は0.74%と、他のすべての職業のうちアルツハイマー病による死亡が最も少なかった。
リアルタイムの空間・ナビゲーションの処理に依存しない他の交通関連職、さらにアルツハイマー病以外の認知症による死亡では、このトレンドは認められなかった。
評価
タクシー運転手と救急車の運転手は、アルツハイマー病による死亡が顕著に少なかった。
BMJクリスマス特集号の一報であるが、空間認知を司る海馬とアルツハイマー病発症の関連について重要な示唆を与えるデータをもたらした。