救急車の運転手はアルツハイマー病による死亡が最も少ない
Alzheimer’s disease mortality among taxi and ambulance drivers: population based cross sectional study

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
BMJ
年月
December 2024
387
開始ページ
e082194

背景

クリスマスシーズンのBMJ誌では、毎年、風変わりで捻った着眼点の医学論文が複数掲載される。
アメリカHarvard Medical SchoolのPatelらは、死亡証明書データを基にした集団ベースレジストリ、National Vital Statistics Systemを利用し、タクシー運転手と救急車の運転手、およびその他441種の職業について、アルツハイマー病による死亡の割合を評価する横断研究を実施した。

結論

職業情報を伴う死亡者8,972,221名のうち、3.88%にあたる348,328名が死因としてアルツハイマー病が記載されていた。これに対して、タクシー運転手は1.03%、救急車の運転手は0.74%と、他のすべての職業のうちアルツハイマー病による死亡が最も少なかった。
リアルタイムの空間・ナビゲーションの処理に依存しない他の交通関連職、さらにアルツハイマー病以外の認知症による死亡では、このトレンドは認められなかった。

評価

タクシー運転手と救急車の運転手は、アルツハイマー病による死亡が顕著に少なかった。
BMJクリスマス特集号の一報であるが、空間認知を司る海馬とアルツハイマー病発症の関連について重要な示唆を与えるデータをもたらした。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)