交感神経クラッシュ型急性肺水腫(SCAPE)では高用量ニトログリセリンが有益
High-dose versus low-dose intravenous nitroglycerine for sympathetic crashing acute pulmonary edema: a randomised controlled trial
背景
交感神経クラッシュ型急性肺水腫(SCAPE)は、交感神経の亢進による血管抵抗の増大と体液の再分配が引き起こす、急性心不全症候群の中でも重篤なサブセットである。これまでの研究では、非侵襲的陽圧換気と併用したニトログリセリンの投与により、症状が急速に解消されることが報告されているが、ニトログリセリンの至適用量は確立されていない。
インドAll India Institute of Medical SciencesのSiddiquaらは、急性呼吸困難を呈する成人患者でスクリーニングを行い、高血圧・頻呼吸・低酸素によりSCAPEと診断された患者を、高用量(600-1000 μgのボーラス投与後100 μg/分)または低用量(ボーラス投与なしで20-40 μg/分)のニトログリセリン投与へと割り付け、6・12時間時点での症状解消率を比較するRCTを実施した(n=54)。
結論
6時間後、高用量群では65.4%、低用量群では11.5%に症状の解消が認められた。12時間時点での臨床的症状解消は、高用量群の88.5%、低用量群の19.5%で認められた。
低用量群は入院期間(中央値)が長く(12時間 vs. 72時間)、30日以内の主要有害心イベント率が高く(3.8% vs. 26.9%)、挿管率も高かった(3.8% vs. 19.2%)。
評価
これまでの観察研究で示唆されていた通り、高用量のニトログリセリンはSCAPEの症状解消に非常に効果的であった。