ECMO患者の急性脳損傷をベッドサイドMRIで評価する
Clinical Use of Bedside Portable Ultra-Low-Field Brain Magnetic Resonance Imaging in Patients on Extracorporeal Membrane Oxygenation: Results From the Multicenter SAFE MRI ECMO Study

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Circulation
年月
December 2024
150
開始ページ
1955

背景

ECMO(体外式膜型人工肺)を導入した患者では、脳梗塞や頭蓋内出血などの急性脳損傷(ABI)のリスクが高まる。ABIを早期に診断することはECMO関連ABIの予後を改善するために重要と考えられるが、ECMO患者で安全かつタイムリーな神経画像検査を行うことは困難である。
アメリカJohns Hopkins University School of MedicineのChoらは、同国2施設の集中治療室に入室し、VA/VV ECMOのサポートを受けた成人患者を対象として、超低磁場(0.064テスラ)のポータブル磁気共鳴画像(pMRI)の安全性を検討し、pMRI評価によるABIの頻度・種類を調査する多施設共同前向観察研究、SAFE MRI ECMO studyを実施した。

結論

適格患者53名のうち、3名は頭部がヘッドコイルに収まらず、撮影が実施されなかった。
超低磁場pMRIが実施された患者の68%がVA ECMO、そのうち32%がcentral ECMO、68%が末梢アクセスであった。32%はVV ECMOで、うち56%がシングルルーメン、44%がダブルルーメンであった。
すべての画像で頭蓋内病変が高画質で描出され、44%の患者でABIが認められた。虚血性脳卒中が最も多く(36%)、頭蓋内出血(6%)、低酸素性虚血性脳損傷(4%)が続いた。
24時間以内の間隔で超低磁場pMRIと頭部CTが行われた患者(n=18)のうち、9名でABIが認められた(虚血性イベント8件, 出血性イベント2件)。超低磁場pMRIは虚血性イベントをすべて検出した一方、頭部CTはそのうち4件のみ、それに対し、CTは出血性イベント2件を検出した一方で、超低磁場pMRIは1件のみを検出した。

評価

超低磁場pMRIは、さまざまなカニューラ挿入を受けているECMO患者のベッドサイドで安全に実施可能であり、ABI病変を検出可能であった。虚血性脳卒中についてはCTよりも高感度と考えられる。
ABIはECMOの最も重大な有害事象の1つであり、迅速な診断を可能にする超低磁場pMRIは高いポテンシャルを秘めている。

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取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)