がんサバイバーの心血管疾患リスク:最大研究
Medium and long-term risks of specific cardiovascular diseases in survivors of 20 adult cancers: a population-based cohort study using multiple linked UK electronic health records databases
背景
がんサバイバーの心血管リスクは。イギリスLondon School of Hygiene & Tropical MedicineのStrongmanらは、同国統合健康データに基づき、これを評価するケース・コントロール研究を行った(n= [ケース] 108,215; [コントロール] 523,541)。
結論
20がん種中18でサバイバーの静脈血栓塞栓症リスクが高く、aHRは前立腺癌の1.72から、膵癌の9.72に及んだ。20がん種中10で心不全・心筋症リスク増を認めた(aHR: [non-Hodgkinリンパ腫] 1.94、[白血病] 1.77、[多発性骨髄腫] 3.29、[食道癌] 1.96、[肺癌] 1.82、[腎癌] 1.73、[卵巣癌] 1.59)。不整脈・心膜炎・冠動脈疾患・脳卒中・弁膜症が血液腫瘍を含む悪性疾患で認められた。心不全/心筋症、静脈血栓症は、心血管疾患の既往のない患者や若年者でHRが高かった。これらのリスク増は化学療法後患者で著しかった。
評価
この種の調査としては最大・最高信頼度のものであろう。アメリカからの大規模報告(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26834065)と類似するが、心疾患リスクの上がらないがんが半数であることや、前立腺がんでは意外にもリスクが下がる、など注目すべき所見ももたらしている。


