心血管疾患リスク予測式PCEのPREVENTへの変更で、スタチン推奨患者が4割減
Atherosclerotic Cardiovascular Disease Risk Estimates Using the Predicting Risk of Cardiovascular Disease Events Equations
背景
2023年に米国心臓協会(AHA)は、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の10年リスクを推定する2013年のプールコホート計算式(PCE)を更新し、新しい予測式PREVENTを発表した。PREVENTは、現代のコホートに由来するもので、人種が削除され、腎機能とスタチン現行使用という変数が追加された。
アメリカUniversity of PittsburghのAndersonらは、2017年1月〜2020年3月にNational Health and Nutrition Examination Surveyに参加した40〜75歳3,785名のデータを使用し、PCEとPREVENTによる10年間のASCVDリスク推定値を比較し、一次予防スタチン療法の推奨に、どのように影響するかを検証する横断研究を行った。
結論
参加者の20.7%が現在スタチンを使用していた。PREVENTによる10年間のASCVDリスク推定値は4.3%で、PCEで算出されたリスク(8.0%)の半分であった。黒人成人(5.1%対10.9%)および70〜75歳の成人(10.2%対22.8%)では、その差はさらに大きかった。PCEに代えてPREVENTを使用すると、スタチン服用を推奨される成人の数は4,540万人から2,830万人に減少する可能性がある。現在スタチンを服用している患者のうち、推定410万人がPREVENTに基づくと服用を勧められなくなる。
評価
PREVENTは、ASCVDに関する最近の知見も反映していて、現行スタチン使用・代謝疾患・腎疾患が組み込まれているが、人種を計算から除外した。適応患者の激減においてどの因子が重要であったかは議論されていないが、人種の無視が関与している可能性もある。しかし、いずれにせよ、スタチン適応患者の半数以上がスタチンを使用していない、という現状が、大きな問題である。