ICD装着者のVTへの第一選択は、カテーテルアブレーションか抗不整脈薬か:VANISH2
Catheter Ablation or Antiarrhythmic Drugs for Ventricular Tachycardia

カテゴリー
循環器、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
November 2024
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開始ページ
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背景

心室頻拍(VT)に対するアブレーションは現在、薬物療法でVTが改善しない患者に行われる第二線方策だが、第一選択治療となる可能性は。
カナダHalifax InfirmaryのSappら(VANISH2)は、心筋梗塞既往があるVT患者(全員がICDを装着)416名を、カテーテルアブレーション群と抗不整脈薬(ソタロールまたはアミオダロン)群に割り付けるRCTを行った(追跡期間中央値 4.3年)。
一次エンドポイントは、追跡期間中の全死因死亡、または無作為化後14日以上経過後のVTストーム、ICDショックの適切作動、または薬物治療上での持続性心室頻拍の複合である。

結論

カテーテルアブレーションの一次エンドポイント優位を認めた(アブレーション群 50.7%、抗不整脈薬群 60.6%[HR 0.75])。カテーテルアブレーション群では、処置後30日以内の有害事象として、死亡が1.0%、非致死性の有害事象が11.3%に発生した。抗不整脈薬群では、薬物治療に起因する有害事象として、肺毒性作用による死亡が0.5%、非致死性の有害事象が21.6%に発生した。

評価

VTに対するカテーテルアブレーションのRCTは、ICD植え込み前というセッティングで行われてきており、VANISH2のリサーチクエスチョンでのRCTは初めてである。複合アウトカムで統計的有意差を示したが、個別パラメータで有意差がみられたものはなく、明確に優位とも言い難い。著者は、アブレーション群は、VT除細動が少なく、1日3回以上のVTエピソードが少なく、除細動器が見逃したVTエピソードも少なかった、としている。ファーストチョイスとしてガイドライン化されるかどうかは、微妙である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)