肥満HFpEF患者にはチルゼパチド:SUMMIT
Tirzepatide for Heart Failure with Preserved Ejection Fraction and Obesity

カテゴリー
循環器、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
November 2024
Online first
開始ページ
Online first

背景

肥満の駆出率維持心不全(HFpEF)患者への二重GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドの効果は。
アメリカBaylor UniversityのPackerら(SUMMIT)は、HFpEF(駆出率>50%)でBMI>30の患者731名を対象として、これを検証するRCTを行った(対照:プラセボ,  52週間)。一次エンドポイントは、心血管因死亡または心不全の増悪(WHF)イベント、ベースラインから52週までのKCCQ-CSSの変化の複合であった(追跡期間中央値 104週間)。

結論

チルゼパタイドの一次エンドポイント効果を認めた。心血管系死亡またはWHFイベントは、チルゼパタイド群の9.9%とプラセボ群の15.3%で発生した(HR  0.62)。WHFは、チルゼパタイド群の8.0%、プラセボ群の14.2%に発生し(0.54)、心血管因死亡は各2.2%と1.4%であった(1.58)。52週時点でのKCCQ-CSSの平均変化は、チルゼパタイド群で19.5、プラセボ群で12.7であった。治験薬の投与中止に至った有害事象(主に胃腸系)は、チルゼパチド群の6.3%、プラセボ群の1.4%に発生した。

評価

2023におけるセマグルチドの類似効果の報告(STEP-HFpEF・STEP-HF DM)に続き、抗肥満薬のHFpEFへの有益性を確認した。著者らは、SUMMITのCMRサブスタディにおいて、チルゼパタイドが心臓の構造/機能に実質的変容をもたらすことも確認している(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39566869/)。
肥満・T2DはHFpEFの主因であり、これら抗肥満薬は、HFpEF治療のパラダイムを変えつつある。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)