PIK3CA変異進行乳がんへのPI3Kα阻害剤 Inavolisib 上乗せで進行リスク半減:INAVO120試験
Inavolisib-Based Therapy in PIK3CA-Mutated Advanced Breast Cancer
背景
Inavolisibは、ホスホイノシタイド3-キナーゼ(PI3K)のp110αアイソフォームに対する選択的阻害剤であり、PIK3CA遺伝子変異を有するHR陽性・HER2陰性進行乳がん患者において、パルボシクリブ・フルベストラントとの併用で有望な活性を示している。
イギリスInstitute of Cancer ResearchのTurnerらは、PIK3CA変異を有し、HR陽性・HER2陰性の局所進行・転移乳がん患者の治療において、パルボシクリブ・フルベストラントに加えて、inavolisibまたはプラセボを割り付け、無増悪生存期間を比較する第3相国際共同RCT、INAVO120試験を実施した(n=325)。
結論
無増悪生存期間(中央値)は、inavolisib群で15.0ヵ月、プラセボ群で7.3ヵ月であった(ハザード比 0.43)。
客観的奏効率はinavolisib群58.4%、プラセボ群25.0%であった。有害事象による治験薬の投与中止は、inavolisib群の6.8%、プラセボ群の0.6%で発生した。
評価
HR陽性乳がんの4割前後でみられるPIK3CA変異乳がんでのinavolisib併用は、PFSの有意な延長をもたらし、この結果によりFDAの承認に至った。
CDK4/6阻害薬で進行した患者を対象とするINAVO121試験(NCT05646862)など、他のセッティングでも検証が開始されている。