多くの国では月曜日(と新年)に自死リスクが高くなる:世界26ヵ国調査
Association of holidays and the day of the week with suicide risk: multicounty, two stage, time series study
背景
自殺・自殺企図の発生には、季節や曜日による変動があることが知られており、新年や月曜日などには件数が増加する。こうした変動には、どのような文化・ライフスタイルの背景があるのか?
韓国Pusan National UniversityのLeeらは、世界26ヵ国の国・地域(東アジア・南北アメリカ・オーストラリア・ヨーロッパ・南アフリカ)の740地点において、1971年から2019年に収集された自殺のデータ(n=1,701,286)をもとに、曜日や祝日・非祝日と自殺リスクとの関連を調査した。
結論
含まれたすべての国において、平日の自殺リスクは月曜日で最も高く、水曜日を参照基準とした相対リスクは1.02から1.17の範囲であった。北米・アジア・ヨーロッパの多くの国では、土曜日・日曜日で自殺リスクが最低となった一方、中南米・フィンランド・南アフリカでは週末にリスクが上昇した。
元日には、相対リスク1.93のチリを筆頭に大半の国で自殺リスクがピークを示したものの、相対リスク0.93の日本などアジア諸国は例外であった。旧暦で正月を祝う中国・韓国・台湾のうちでは、韓国のみ旧正月中の自殺リスク減少が認められた。
クリスマスの前後では明確なリスク上昇は示されなかった。また、そのほかの国民の祝日については、ヨーロッパ・アジアを中心に、祝日の1〜2日前からリスクの減少が見られる一方、祝日の後にはリスクが増加していた。
評価
月曜日に自殺が多いことはよく知られているが、週末の自殺リスクは国・地域によって顕著に異なっていた。正月のリスクについても同様で、異なる文化・社会的背景を考慮した自殺防止対策が必要とされている。