重度三尖弁逆流症への経カテーテル弁置換術:TRISCEND II
Transcatheter Valve Replacement in Severe Tricuspid Regurgitation
背景
重度三尖弁逆流症(TR)に対するEVOQUEによる経カテーテル三尖弁置換と至適薬物療法(OMT)の併用の安全性と有効性は。
アメリカColumbia UniversityのHahnら(TRISCEND II)は、重度TRを有する患者400名をEVOQUE+OMT群とOMTのみの対照群に2:1で割り付け、これを検証するRCTを行った。
階層型複合アウトカム(HCE)は、全原因死亡・右室補助人工心臓(RVAD)植え込み/心臓移植・術後三尖弁再介入・心不全入院・KCCQ-OSスコア10ポイント以上の改善・NYHA機能クラス1レベル以上の改善・6MWDの30メートル以上の改善である。
結論
1年時点で、EVOQUE+OMTの対照に対する勝率(win ratio)は2.02(P<0.001)であった:全死因死亡 (14.8% vs. 12.5%)・術後三尖弁介入(3.2% vs. 0.6%)・KCCQ-OSスコア改善(23.1% vs. 6.0%)・NYHAクラスの改善(10.2% vs. 0.8%)・6MWDの改善(1.1% vs. 0.9%)。EVOQUE+OMT群は、心不全による年間入院率に関しては対照群よりも勝利が少なかった(9.7% vs. 10.0%)。重度出血はEVOQUE+OMT群の15.4%と対照群の5.3%で発生し、新規永久ペースメーカー植え込みは、各17.4%と2.3%に実施された。
評価
Edwards LifesciencesによるEVOQUEで、AbbottのTEER用TriClipと共に2024年にFDA承認を得ている。
ここでの有益性結果は、主にQOL改善によってもたらされており、機能状態の改善も追加的に寄与している。TR重症度は、患者の95.3%で重度(またはそれ以上)から軽度以下に軽減したが、重度出血、新規ペースメーカー植え込み率が高い。TEERとの直接比較の必要性を含め、今なお状況は流動的である。