早期乳がんの遠隔再発、2000年代の患者では90年代から2割減少
Reductions in recurrence in women with early breast cancer entering clinical trials between 1990 and 2009: a pooled analysis of 155746 women in 151 trials
背景
早期乳がん患者における過去の追跡調査では、ホルモン受容体陽性の患者で長期にわたって再発リスクが持続することが明らかにされている。ただし、早期乳がんのアウトカムは近年改善しており、データの更新が求められていた。
Early Breast Cancer Trialists' Collaborative Group(EBCTCG)は、EBCTCGデータベースを用いて、早期乳がん女性(n=652,258)を対象としたRCTのプール解析を行い、1990〜2009年に登録された75歳以下で転移のないエストロゲン受容体(ER)陽性/陰性乳がん女性における、遠隔再発率および経時的なアウトカムのトレンドを調査した。
結論
151件の試験から、155,746名の患者個別データが含まれた。
ER陽性/陰性女性ともに、診断暦年が最近になるほど遠隔再発率が改善した。改善のうち、ER陽性女性では80.5%、ER陰性女性では89.8%が、患者・腫瘍特性と治療法の改善によって説明された。
近年の患者ほどリンパ節転移陰性の割合が高かった。1990〜1999年および2000〜2009年に診断された患者の10年遠隔再発リスクは、リンパ節転移陰性・ER陽性女性で10.1%から7.3%へ、リンパ節転移陰性・ER陰性女性では18.3%から11.9%、1〜3個のリンパ節転移・ER陽性女性では19.9%から14.7%、1〜3個のリンパ節転移・ER陰性では31.9%から22.1%、4〜9個のリンパ節転移・ER陽性女性では39.6%から28.5%、4〜9個のリンパ節転移・ER陰性では47.8%から36.5%へ低下していた。
治療法について調整後、2000年以降の患者の遠隔再発率は、1990年代と比較してER陽性女性で25%、ER陰性女性で19%低下していた。
評価
検診戦略・診断精度の改善等で、より低リスクの女性が試験に参加していること、術後補助療法が改善したことにより、2000年代にかけて長期の遠隔再発は減少していた。
早期乳がんでは近年さらに多くの治療革新が起こっており、現代の患者では、再発率はより低い可能性が高い。

