筋層浸潤膀胱がんへの周術期デュルバルマブ追加で生存率向上:NIAGARA試験
Perioperative Durvalumab with Neoadjuvant Chemotherapy in Operable Bladder Cancer
背景
切除可能な筋層浸潤性膀胱がんでは、術後補助療法としての免疫チェックポイント阻害薬の有効性が示唆されているが、生存率の改善を実証した試験はまだない。
イギリスQueen Mary University of LondonのPowlesらは、世界22ヵ国のシスプラチン治療に適応の筋層浸潤性膀胱がん患者を、デュルバルマブとゲムシタビン・シスプラチンを併用した術前補助療法とデュルバルマブ術後補助療法(デュルバルマブ群)、またはゲムシタビン・シスプラチン術前補助療法のみ(対照群)へと割り付け、病理学的完全奏効・無イベント生存率などを比較する第3相RCT、NIAGARA試験を実施した(n=1,063)。
結論
推定24ヵ月無イベント生存率は、デュルバルマブ群で67.8%、対照群で59.8%であった(イベントハザード比 0.68)。24ヵ月生存率は各群82.2%、75.2%であった(死亡ハザード比 0.75)。
グレード3・4の治療関連有害事象は、デュルバルマブ群の40.6%、対照群の40.9%で発生した。死亡に至る治療関連有害事象は各群0.6%で発生した。
膀胱全摘除術はデュルバルマブ群の88.0%、対照群で83.2%で実施された。
評価
術前化学療法への上乗せを含めた周術期使用によって、筋層浸潤性膀胱がんのEFS・生存率を大きく改善した。新たな標準治療となるだろう。
周術期の免疫チェックポイント阻害薬使用については、術前でpCRを達成した患者での術後補助療法回避や、逆に術前治療が奏効しなかった患者での術後補助療法の強化などが検討されており、デュルバルマブについても今後の検討課題となろう。