高齢非ST上昇心筋梗塞患者にはPCIか保存的治療か：SENIOR-RITA
Invasive Treatment Strategy for Older Patients with Myocardial Infarction
背景
高齢非ST上昇心筋梗塞（NSTEMI）患者には、保存的治療か侵襲的治療か。
イギリスNewcastle UniversityのKunadianら（SENIOR-RITA）は、イングランドとスコットランドの48施設において、75歳以上でフレイル・認知障害・併存疾患の重症度が高いNSTEMI患者1,518名を対象に、これを検証するRCTを実施した。
一次アウトカムは、心血管死または非致死的心筋梗塞（MI）の複合である。
結論
中央値4.1年の追跡で、両治療間に一次アウトカム差はなかった（HR 0.94）。心血管死は薬物療法＋侵襲的治療群の15.8%、薬物療法群の14.2%に発生した（HR 1.11）。非致死的MIは薬物療法＋侵襲的治療群の11.7%、薬物療法群の15.0%に発生した（HR 0.75）。術後合併症発生率は1%未満であった。
評価
NSTEMIイベントは、50%以上が70歳以上の患者で発生するにも関わらず、従前の研究はItalian Elderly ACS等レジストリ研究のみであった。SENIOR-RITAはこのテーマに関する唯一・最大のRCTであり、平均年齢82歳という点も注目される。心血管因死亡に差はないが、非致死的MIはPCIの方が少ない、という結果は、レジストリ結果を裏書きしている。ただし、この試験での多肢完全血行再建例は30%であった。
