TAVIでの抗凝固薬中断は安全か:POPular PAUSE TAVI
Continuation versus Interruption of Oral Anticoagulation during TAVI
背景
多くのガイドラインでは、出血高リスク者への経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)では経口抗凝固薬の中止が推奨されている。
オランダSt. Antonius Hospitalのten Bergら(POPular PAUSE TAVI)は、経口抗凝固薬服用中のTAVI施行予定患者858名を、経口抗凝固薬の周術期継続または中断に割り付ける非盲検非劣性RCTを実施した。
一次アウトカムは、TAVI後30日以内の心血管死・全原因脳卒中・心筋梗塞・主要血管合併症・大出血の複合である。
結論
一次アウトカムは、継続群の16.5%、中断群14.8%に発生し、リスク差1.7パーセントポイントで、TAVI中おける経口抗凝固継続の非劣性は認められなかった。継続群では中断群と比較して全出血リスクが増加し(31.1% vs. 21.3%)、心血管死・血栓塞栓症・虚血性脳卒中のリスクには有意差がなかった。
評価
TAVI施行患者が周術期に経口抗凝固薬を継続投与すると、脳卒中のリスクが低下する可能性があることを示す観察研究(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31000005/、https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33358653/)を受けて行われた確認検証である。非盲検ながら現在の大勢を支持する結果となり、中断ガイドラインの汎化を後押しすることになった。