職場でのセクハラは心血管疾患・糖尿病リスクを上昇させる:スウェーデン研究
Exposure to workplace sexual harassment and risk of cardiometabolic disease: a prospective cohort study of 88 904 Swedish men and women
背景
心血管疾患(CVD)のリスクは、長時間労働などの心理社会的ストレスを伴う職業上の因子によっても左右される。セクシャルハラスメントは、近年、職場環境における重大問題として、ますます認識されてきたが、セクシャルハラスメントへの曝露はCVDリスクと関連するのか?
フィンランドTampere UniversityのKcらは、2年に一度、スウェーデンの成人有給労働者の代表サンプル(10,000-15,000名)を対象として行われる電話インタビュー・質問表記入による横断調査、Swedish Work Environment Surveyの参加者において、職業関連のセクシャルハラスメントとCVD・2型糖尿病(T2D)リスクの関連を前向検討した(n=88,904)。
結論
過去12ヵ月以内に職場でセクハラを受けたと報告したのは全体で4.8%、男性で1.9%、女性で7.5%に上った。
女性、独身/離婚/別居状態、外国出身者、仕事の要求度が高い、仕事のコントロール(裁量)が低い個人では、セクハラの割合が高かった。
関連する因子について調整後、セクハラはCVDの発症(HR 1.25)、T2D発症(1.45)増加と関連していた。上司・同僚からのセクハラはCVD(1.57)、T2D(1.85)と関連し、その他の人からのセクハラはT2Dと関連していた(1.39)。CVD・T2Dとも、セクハラの頻度が高いほど、リスクが高まる傾向にあった。
評価
セクハラ一般や性的虐待についての既存研究から予想される結果だが、初めての大規模研究で、職場でのセクハラ被害がCVD・T2Dのリスク増加と関連することを示した。
セクハラが人権問題であるのみならず、公衆衛生上のリスクでもあることを訴えるデータである。