肋骨骨折の疼痛管理に前鋸筋面ブロックが有効:SABRE
Serratus Anterior Plane Blocks for Early Rib Fracture Pain Management: The SABRE Randomized Clinical Trial
背景
鈍的外傷による肋骨骨折は激しい疼痛を生じ、管理が不十分な場合には、運動・呼吸機能の低下、喀出困難による肺炎などの合併症にもつながる。
オーストラリアRoyal North Shore HospitalのPartykaら(SABRE)は、同国ニューサウスウェールズ州の救急外来8ヵ所で、肋骨骨折の臨床的疑い、またはX線確認済みの肋骨骨折を有する成人患者に対し、通常ケア+前鋸筋面ブロック(SAPB)または通常ケアのみを割り付け、疼痛アウトカムへの影響を評価する多施設共同RCTを実施した。
結論
588名がスクリーニングされ、210名が登録・ランダム化された。
登録4時間後に複合疼痛アウトカム(10点満点の疼痛スコアが2ポイント以上減かつ絶対スコアが4ポイント未満)に到達した患者の割合は、SAPB群で41%、対照群で19.6%であった(相対リスク 0.73)。またSAPB群では、24時間以内のオピオイド消費量が臨床的有意に減少した(45 mg vs. 91 mg [モルヒネ換算量])。
肺炎の発生率、入院期間、30日死亡率に群間差はなかった。
評価
SAPBの追加により、疼痛が緩和され、オピオイド必要量も削減された。肋骨骨折患者の鎮痛における有望なオプションとなる。


