STEMIでは病院前ステロイド投与が有望か:PULSE-MI
Prehospital Pulse-Dose Glucocorticoid in ST-Segment Elevation Myocardial Infarction: The PULSE-MI Randomized Clinical Trial
背景
心筋梗塞(MI)患者では、急性炎症が心筋傷害の程度に関係すると考えられているが、炎症の抑制を目指した治療によって梗塞サイズを縮小することはできるか?
デンマークCopenhagen University HospitalのMadsenら(PULSE-MI)は、急性胸痛・ST上昇型心筋梗塞(STEMI)の発症から12時間未満の成人患者を対象に、病院到着前にメチルプレドニゾロン250 mgまたはプラセボの静注を割り付け、3ヵ月時点での梗塞サイズ(CMRによる)を比較する医師主導型RCTを実施した(n=530)。
結論
最終梗塞サイズ(左室質量に対する%)は、ステロイド群で5%、プラセボ群で6%と差がなかった。
一方で、急性期(入院中)の梗塞サイズはステロイド群で小さく(オッズ比 0.78)、微小血管閉塞が少なく(相対リスク比 0.83)、急性期の左室駆出率が高かった(平均差 4.44%)。その他の副次アウトカムは両群で同等であった。
評価
一次アウトカムに差は認められなかった一方で、急性期の梗塞サイズなど、いくつかの短期アウトカムはステロイド投与の有効性を示唆した。今後の検証を正当化する有望結果といえよう。


