オピオイド関連でない心停止でもナロキソンが有用?
Naloxone and Patient Outcomes in Out-of-Hospital Cardiac Arrests in California
背景
アメリカでは院外心停止(OHCA)の7〜14%がオピオイドに関連するとみられているが、オピオイド拮抗薬ナロキソンの投与はOHCAの予後を改善することができるだろうか?
アメリカUniversity of CaliforniaのDillonらは、北カリフォルニアの3つの郡で、非外傷性OHCAにより、救急医療サービスの治療を受けた成人患者の後向コホートにおいて、救急隊によるナロキソン投与が生存退院・その他のアウトカムを改善するか検討した。
結論
2015〜2023年にOHCA患者8195名が治療を受けた。患者の年齢は中央値65歳、男性が67.6%であった。
医師の判断では8.7%が薬物関連OHCAと考えられ、ナロキソンは全体の14.2%に投与された。最近、傍傾向スコアマッチング(絶対リスク差15.2%)、傾向スコアを用いた逆重み付け回帰(11.8%)ともに、ナロキソンは自己心拍再開の増加と関連し、また生存退院の増加(6.2%, 3.9%)と関連した。治療必要数(NNT)は、自己心拍再開について9名、生存退院について26名であった。
ナロキソン投与は、薬物関連と推定されるOHCA(オッズ比 2.48)と薬物関連でないOHCA(1.35)のいずれにおいても生存退院率の改善と関連した。
評価
日本ではほとんど存在しないが、オピオイド・クライシス下のアメリカでは、オピオイド関連OHCAが大きなテーマとなっている。
この後向コホート研究は、オピオイド関連OHCAに限らず、OHCA一般でもナロキソンが有効である可能性を示唆した。掘り下げた検証が必要となる。


