DMの心筋梗塞患者へのEDTAキレーション療法のTACT試験、再現に失敗:TACT2
Edetate Disodium-Based Chelation for Patients With a Previous Myocardial Infarction and Diabetes
背景
心筋梗塞(MI)の既往を有する糖尿病(DM)患者に対するエデト酸二ナトリウム(EDTA)キレーション療法は、主要心血管イベント(MACE)を軽減する仮説がある。
アメリカColumbia UniversityのLamasら(TACT2)は、米国・カナダの88施設において、登録の少なくとも6週間前にMI既往を有する50歳以上のDM患者を、EDTAキレーション療法とプラセボ、または高用量マルチビタミン・ミネラルとプラセボに割り付け比較する2×2要因デザインRCTを行った。この論文では、キレーション療法とプラセボの比較について報告している(n=959)。
一次エンドポイントは、全死因死亡・MI・脳卒中・冠動脈血行再建術・不安定狭心症入院の複合である(追跡期間中央値:48ヵ月)。
結論
キレーション療法はプラセボと比較して一次アウトカムを減少させなかった(HR 0.93)。複合エンドポイントのどの因子でも差はなかった。
EDTAキレーション療法による血中鉛濃度の低下は有意であった(9.03 μg/Lから3.46 μg/L)。
評価
2013年に報告され、物議を醸したTACTの、ほぼ忠実な再現試験だったが、失敗した。研究者らは、北米人口で全体的に血中鉛濃度が低下したことを一つの説明として挙げているが、もしそうならば、この治療法が再度北米で取り上げられることはないだろう。