EGFR-TKI後に進行した肺がんにPD-1/VEGF二重特異性抗体が登場:HARMONi-A
Ivonescimab Plus Chemotherapy in Non-Small Cell Lung Cancer With EGFR Variant: A Randomized Clinical Trial
背景
上皮成長因子受容体(EGFR)変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の治療は、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)によって大きく改善したが、第三世代EGFR-TKIにも関わらず、病勢が進行した患者では選択肢が限られている。
中国Sun Yat-sen University のFangら(HARMONi-A)は、同国55施設の、EGFR変異を有する再発進行・転移性NSCLC患者に対する化学療法(ペメトレキセド+カルボプラチン、その後ペメトレキセドまたはカルボプラチンによる維持療法)に、PD-1/VEGF二重特異性抗体ivonescimab(開発コードAK112/SMT112)、またはプラセボを追加し、無増悪生存期間を比較する第3相RCTを実施した(n=322)。
結論
無増悪生存期間(中央値)は、ivonescimab群7.1ヵ月、プラセボ群4.8ヵ月であった(HR 0.46)。
事前指定されたサブグループ解析では、第三世代EGFR-TKI治療中に進行した患者(0.48)、脳転移患者(0.40)など、ほぼ全てのサブグループでivonescimabのベネフィットが認められた。
客観的奏効率はivonescimab群50.6%、プラセボ群35.4%であり、全生存期間についてはデータがimmatureであった。
グレード3以上の治療下発現有害事象は、ivonescimab群の61.5%、プラセボ群の49.1%で発生し、多くは化学療法関連であった。
評価
PD-1とVEGFを標的化する中国発のファーストインクラス薬で、本試験ではEGFR-TKI後進行患者で上乗せ効果を示した。
ほかにもPD-L1陽性患者の一次治療では、ペムブロリズマブを上回るPFSを示しており(HARMONi-2)、一次化学療法への上乗せについてペムブロリズマブと比較を行う、日本と北米を含む国際治験、HARMONi-3も開始されている(jRCT2031230688)。

