アメリカのがん患者の20%が臨床研究に参加している
National Estimates of the Participation of Patients With Cancer in Clinical Research Studies Based on Commission on Cancer Accreditation Data
背景
がん患者の臨床試験への参加は、新しい治療法の開発に不可欠であり、患者にとっても品質の高いケアを受けられるという利点がある。過去の研究では、アメリカのがん患者の臨床試験への参加率は2〜3%と推定されてるが、現在の参加率についてはエビデンスがない。
アメリカFred Hutchinson Cancer CenterのUngerらは、全米のがん症例の70%以上をカバーする1,200のCommission on Cancer(CoC)プログラムの全国サンプルを用い、2013年から2017年にかけての成人がん患者の臨床試験参加率を研究タイプ別に推定した。
結論
がん治療の臨床試験への参加率は7.1%と推定された。
また、患者はバイオバンク研究(12.9%)、レジストリ研究(7.3%)、遺伝学的研究(3.6%)、QOL研究(2.8%)、診断的研究(2.5%)、経済学的研究(2.4%)など、他のさまざまな研究にも参加していた。
治療試験への登録は、アメリカ国立がん研究所(NCI)指定の総合がんセンターで21.6%、NCI非指定の学術的包括がんプログラムで5.4%、統合ネットワークがんプログラムで5.7%、コミュニティがんプログラムで4.1%であった。
患者の21.9%が、少なくとも一つの臨床研究に参加していた。
評価
アメリカのがん患者の7.1%が治療的な試験に参加しており、臨床試験全体では参加率は20%を超えていた。治療的試験への参加率はイギリスやフランスから報告されているものと同等とみられるが、日本における参加率は不明である。