頸椎損傷リスクを予測するPECARN CSIルールでCTを削減
PECARN prediction rule for cervical spine imaging of children presenting to the emergency department with blunt trauma: a multicentre prospective observational study
背景
小児の頸椎損傷(CSI)は深刻な結果をもたらしうるが稀であり、外傷後の小児患者でユニバーサルに頸部の画像検査を行うことは、患者を不要ながんリスクにさらすこととなる。
アメリカOhio State University のLeonardらは、Pediatric Emergency Care Applied Research Network(PECARN)に参加する同国18ヵ所の小児救急外来を受診した、鈍的外傷が疑われる小児患者(0〜17歳)のコホートにおいて、頸椎損傷スクリーニングのための放射線画像検査の必要性を判断する臨床予測ルールを導出・検証した。
結論
導出コホートには9施設、11,857名、検証コホートには9施設、10,573名が登録された。全体の1.9%で頸椎損傷が確認された。
頸椎損傷高リスクと関連する因子として、意識障害(GCSが3-8、またはAVPUでunresponsive)、気道・呼吸・循環の異常、知覚異常・しびれ感・脱力などの局所神経脱落症状があった。これらのリスク因子を1つ以上有する派生コホート(n=928)では、12.7%にあたる118名で頸椎損傷が認められた(リスク比 8.9)。また、CART解析で特定されたリスク因子として、意識障害(GCSが9-14、AVPUでverbalないしpain、または他の意識障害徴候)、重大な頭部損傷、重大な体幹損傷、正中頸部の圧痛があった。
高リスク因子とCART導出因子を合わせると、感度94.3%、特異度60.4%、陰性適中率99.9%となった(検証コホート)。このアルゴリズムを全参加者に適応すると、単純X線検査の件数を増やすことなく、CT検査の実施を17.2%から6.9%に減少させられると推定された。
評価
臨床所見に基づくPECARN CSIルールは高い精度で頸椎損傷を予測可能であり、このルールを適用することで、CTの使用を半分以下にすることができると考えられた。


