3Dプリンティング・エレクトロスピニング技法を用いた人工血管のプロトタイプ登場
Fabrication of a Compliant Vascular Graft Using Extrusion Printing and Electrospinning Technique

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
Advanced Materials Technologies
年月
July 2024
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開始ページ
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背景

3Dプリンティングによる人工血管生成は、注目の領域である。
イギリスThe University of EdinburghのRadacsiらは、同技法による、ゼラチンメタクリロイル(GelMA)構造物上にエレクトロスピニングナノファイバー(ESN)層を累積させ、GelMAグラフトの機械的性能を向上させた強く柔軟なゲル状チューブの開発を報告している。

結論

ESNの製造には、ポリカプロラクトン(PCL)とポリ(L-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)(PLCL)ポリマー溶液の様々な組み合わせを使用した。GelMA濃度の変化は、グラフト全体の強度に対しほとんど影響しなかった。繊維強化GelMA構成体の破裂圧と引張強度は、ヒトの生体動脈と同等であることが示された。さらに、100%PCLおよび75/25%PCL/PLCLナノファイバーで強化された移植片のコンプライアンスは、各々ヒトの筋肉動脈および弾性動脈と類似していた。組織適合性評価では、GelMAが内皮細胞の生存・増殖のための生体活性表面を提供することが示された。また、PCL/PLCL ESNは、対照群で観察されたものと同じオーダーの細胞代謝活性を示した。このハイブリッド技術は、組織工学における管状構造物の製造に新たな可能性をもたらす。

評価

3Dプリンティングによる人工血管生成では、十分な機械的強度の達成が未だ主課題である。この報告は、エレクトロスピニングナノファイバーでこの強度課題を解決できたとするもので、さまざまな用途に合わせ直径1〜40mmの厚さが作成可能である、という。生体適合性が確認された段階であり、in vivo実験が進行中である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)