MRD陰性となった成人B-ALL患者、ブリナツモマブ地固め療法で生存率改善:E1910試験
Blinatumomab for MRD-Negative Acute Lymphoblastic Leukemia in Adults
背景
近年の治療の進歩に伴い、成人B前駆細胞型急性リンパ性白血病(BCP-ALL)患者の予後は大きく改善しているが、小児と比べると以前不良である。とくに導入化学療法後に微小残存病変(MRD)陰性となった患者でも再発のリスクがあり、optimalな地固め療法が求められていた。
アメリカMayo ClinicのLitzowら(E1910)は、導入・強化化学療法後にMRD陰性寛解を達成した30〜70歳のBCR:ABL1陰性BCP-ALL患者(n=224)を、4サイクルの地固め化学療法に加えてブリナツモマブを投与するグループまたは地固め化学療法のみのグループへと割り付け、全生存率を比較する第3相RCTを実施した。この論文は同試験の第3回中間解析結果を報告した。
結論
追跡期間43ヵ月(中央値)で、全生存についてのブリナツモマブ群の優位性が認められた。3年生存率はブリナツモマブ群で85%、対照群で68%であり(HR 0.41)、3年無再発生存率はそれぞれ80%、64%であった(0.53)。
神経精神系事象と判定された有害事象の発生率は、ブリナツモマブ群で高かった。
評価
地固め化学療法へのブリナツモマブ追加は、MRD陰性BCP-ALL成人患者の生存期間を大きく延長し、この結果により、ブリナツモマブはCD19陽性BCP-ALLの地固め療法でもFDAの承認を受けた。