アルコールのCVDリスクに新次元疫学研究
Conventional and genetic evidence on alcohol and vascular disease aetiology: a prospective study of 500 000 men and women in China
背景
適度のアルコール摂取が心血管イベントリスクを下げるという報告が多いが、遺伝子レベルでの裏付けに欠ける。中国Peking UniversityのLiらは、中国データバンク登録512,715名の成人を対象に、自己報告アルコール摂取量・遺伝子型予測アルコール摂取量(161,498名)とCVD(脳卒中・心筋梗塞)リスクの関連を前向解析した。
結論
自己報告摂取量では、男性において100g/週のアルコール摂取はCVDリスク減少と関連した。しかし、遺伝子型予測によれば、頭蓋内出血(相対リスク[RR]/280g/週: 1.58)・虚血性脳卒中(RR/280g/週: 1.27)リスクともアルコール摂取と有意に線形に関連し、U字関係はみられなかった(心筋梗塞では非有意)。他方、女性においてはこのような関連はみられなかった。
評価
中英共同で長く行われているビッグデータ疫学研究であり、飲酒のCVDリスク研究を、遺伝子レベル解析という新次元に押し上げた。U字関連はないという結論は強く、前向RCTでなければ覆せないともみえる。「アルコールにタバコレベルの規制を」という大きな公共政策問題につながる可能性もある。


