脳梗塞急性期の心筋トロポニン上昇は心筋梗塞と関連するか:PRAISE研究
Type 1 Myocardial Infarction in Patients With Acute Ischemic Stroke
背景
脳梗塞急性期の患者では高感度心筋トロポニン(hs-cTn)の上昇がしばしば認められ、予後不良と関連するが、診療上の意義は明確ではない。
ドイツCharite-Universitatsmedizin BerlinのNolteら(PRAISE)は、同国26施設の急性虚血性脳卒中患者で、入院時hs-cTnが高い(52 ng/L超)、またはhs-cTnが基準値上限を上回り、再測定で20%超の変動があった患者を登録し、hs-cTn値の大きな変化(50%超)が心筋梗塞を示唆しているかを前向検証した(n=254)。
エンドポイントの評価は盲検下で行われた。
結論
51%の患者で心筋梗塞が認められ、20%(50名)がType 1に分類された。
hs-cTn値の50%超の変化は、単変量でも(32% vs. 38%)、調整後にも(オッズ比 1.05)心筋梗塞と関連していなかった。ただし、ベースラインhs-cTn値はType 1心筋梗塞と独立に関連しており、最良の予測カットオフ値は、基準値上限の5-10倍であった。
評価
hs-cTnの大幅な変動が心筋梗塞を示唆する、という主仮説は認められなかったものの、探索的解析ではベースラインのhs-cTn高値がType 1心筋梗塞と関連することが示された。検査戦略の最適化につながる知見である。