ICUの頭部外傷後患者の経過を予測する変数は?
Clinical descriptors of disease trajectories in patients with traumatic brain injury in the intensive care unit (CENTER-TBI): a multicentre observational cohort study
背景
重度の外傷性脳損傷(TBI)患者は異質性の高い集団であるが、ICUでの治療は概ね均質である。疾患の経過に応じた、より個別化された治療は可能か?
スウェーデンKarolinska InstitutetのAkerlundらは、65施設のICUに入室した成人TBI患者の大規模前向観察コホート研究、Collaborative European NeuroTrauma Effectiveness Research in Traumatic Brain Injury(CENTER-TBI)のデータを用い、TBI患者の疾患経過の弁別を可能にする臨床変数を特定した。
結論
2014〜2017年のTBI患者4,509名のうち、1,728名が分析の対象となった。
血糖変動(最高血糖と最低血糖の日内差)、および脳バイオマーカー(S100B [S100Bカルシウム結合タンパク質]・NSE [ニューロン特異的エノラーゼ]・NFL [ニューロフィラメント軽鎖]・タウ・UCH-L1 [ユビキチンC末端水解酵素1型]・GFAP [グリア線維性酸性タンパク質])は、一貫してTBI患者の疾患経過に寄与する変数であった。
これらの変数に基づく患者のクラスタリングは、死亡率と不良アウトカム(GOS-Eが4以上)の予測を改善した。
評価
既知の脳損傷バイオマーカーに加えて、現在あまり重視されていない血糖値の日内変動が、患者の経過の主要な説明変数として特定された。重症TBI治療の個別化に向けた一歩として注目される。


