肺動脈弁逆流症に対する自己拡張型TPVR治療の短期有益性を報告
Early Outcomes From a Multicenter Transcatheter Self-Expanding Pulmonary Valve Replacement Registry
背景
Medtronic HarmonyTMを用いた経カテーテル肺動脈弁留置術(TPVR)は、肺動脈弁逆流症(PR)に対する新たな治療法として2021年にFDA承認された。
アメリカUPMC Children’s Hospital of PittsburghのGoldsteinらは、2022年4月30日までに米国11施設でTPVRを受けたnative RVOT(非修復右室流出路)PR患者243名(中央値31歳)を対象に、同技法の安全性と短期的有効性を評価するレジストリ研究を行った。
患者は、ファロー四徴症(71%)・肺動脈狭窄症(21%)・その他(8%)、一次アウトカムは、血行動態機能障害とRVOT介入の複合である。
結論
手技は急性心筋梗塞発症1例を除きすべて成功した。手技上の重篤有害事象は4%の症例に発生したが、デバイス塞栓や死亡はなかった。入院期間は86%の患者で1日であった。治療を必要とする心室性不整脈は19%で発生した。追跡期間中央値13ヵ月で、98%の患者で血行動態パラメータが許容範囲内であった。複合臨床一次アウトカムの推定無発生率は1年で99%、2年で96%であった。TPVRに関連する心内膜炎の無発生率は1年目で98%であった。5名の患者がCOVID-19・原因不明・血流感染により死亡した。
評価
ピッツバーグUPMC Children’s Hospitalが中心となっている自己拡張型肺弁置換に関する全米レジストリからの最初の論文である。自己拡張型TPVR治療の短期有益性を確認する結果であり、さらなる長期結果が注目される。