脳梗塞でのtPA血栓溶解療法、reteplaseがアルテプラーゼを上回る:RAISE試験
Reteplase versus Alteplase for Acute Ischemic Stroke
背景
Reteplaseは、FDAに承認・市販された2つ目の組織プラスミノーゲン活性化因子であり、半減期が長く、固定用量でのボーラス投与を特徴とする。90年代に、心筋梗塞患者を対象としてアルテプラーゼとの比較が複数回行われたが、明確な差は認められなかった。
中国Beijing Tiantan HospitalのLiら(RAISE)は、発症後4.5時間以内の虚血性脳卒中患者を、reteplase(30分間隔2回のボーラス投与)またはアルテプラーゼ(10%をボーラス投与、残りを60分間点滴)へと割り付け、機能的アウトカムを比較する第3相多施設RCTを実施した(n=1,412)。
結論
年齢は中央値63歳、70.5%が男性で、NIHSSスコアは中央値6であった。治験薬投与までの時間は中央値180分で、救済血管内治療を受けたのは45名であった。
90日後の機能的良好アウトカム(mRS0/1)率は、reteplase群で79.5%、アルテプラーゼ群で70.4%と、reteplaseで有意に良好であった(リスク比 1.13)。
発症36時間以内の症候性頭蓋内出血の発生は、reteplase群で2.4%、アルテプラーゼ群で2.0%と差がなく、対して、90日時点での頭蓋内出血発生率は、それぞれ7.7%、4.9%とreteplase群で有意に高かった(リスク比 1.59)。また、有害事象発生率も各91.6%、82.4%とreteplase群で高かった。
評価
頭蓋内出血・有害事象の増加はあったものの、機能的アウトカムに関してはreteplase群で良好、という結果となった。アルテプラーゼとの比較では、tenecteplaseも優位性を示してはおらず、今後の検証でreteplaseの優位が確認されれば、インパクトは大きい。