血管内治療が受けられない脳梗塞患者で発症4.5-24時間のtenecteplaseが有効:TRACE-III試験
Tenecteplase for Ischemic Stroke at 4.5 to 24 Hours without Thrombectomy
背景
発症後4.5時間以内の脳梗塞患者には静注血栓溶解療法が推奨されており、タイムウィンドウを広げるための検証も続いている。Tenecteplaseは、最近のTIMELESS試験において発症後4.5〜24時間の主幹動脈閉塞患者での有効性を検証したが、プラセボを上回る有効性は認められなかった(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2310392)。
中国Capital Medical UniversityのXiongら(TRACE-III)は、同国58施設の、最終健常確認時刻から4.5〜24時間の中大脳動脈・内頸動脈閉塞で、救済可能な脳組織を有し、血管内治療へのアクセスをもたない主幹動脈閉塞患者を対象に、tenecteplase(0.25 mg/kg, 最大25 mg)または標準となる内科的治療を割り付け、有効性・安全性について比較する第3相RCTを実施した(n=516)。
結論
どちらの治療群においても、救済血管内治療を受けた患者は2%に満たなかった。
90日後に障害のない(mRS0/1)患者の割合は、tenecteplase群で33.0%、標準治療群で24.2%と、tenecteplase群で有意に高かった(相対率 1.37)。
90日死亡率はtenecteplase群13.3%、標準治療群13.1%と差はなく、治療後36時間以内の症候性頭蓋内出血発生率は、それぞれ3.0%、0.8%であった。
評価
Tenecteplaseの有効性は、77.3%がその後に血管内治療を受けたTIMELESS試験では認められなかったが、血管内治療を受けられた患者が2%に満たなかったTRACE-III試験では、認められた。
血管内治療センター以外の施設に一次搬送された患者に、大きな恩恵をもたらす結果である。