上室性頻拍に対する修正バルサルバ法とアデノシン静注の併用は?
Combined modified Valsalva maneuver with adenosine supraventricular tachycardia: A comparative study
背景
発作性上室性頻拍(PSVT)に対してはバルサルバ法などの迷走神経刺激、アデノシン静注による薬物療法が第一選択治療となるが、両者を併用することの有効性・安全性は。
中国Cancer Hospital of Shantou University Medical CollegeのXiaoらは、2017〜2022年にPSVTを主訴として救急外来を受診した14〜70歳の患者を、修正バルサルバ法(MVM)、アデノシン静注、MVMとアデノシンの併用の3群へと割り付け、治療成功率と副作用を比較する多施設RCTを実施した(n=122)。
結論
治療成功率は、MVM群で42.1%、アデノシン群で75.0%、併用群で86.1%であった。アデノシン群および併用群の成功率は、MVM群よりも有意に高かったものの、アデノシン群と併用群の差は有意ではなかった。
最長のRR間隔はMVM群1.61秒、アデノシン群1.60秒、併用群2.27秒であり、併用群で有意に長かった。
評価
Appelboamらにより提案されたMVM(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(15)61485-4)だが、この試験では洞調律回復率は高くなく、アデノシン単独や併用に劣った。
一方、MVMとアデノシンの併用は成功率が高い傾向にあり、重大な有害事象もなかったが、アデノシン単独を上回るベネフィットがあるかは追加の検証を要する。