ACSへのPCI後1〜12ヵ月のDAPTをチカグレロル単独に変える:ULTIMATE-DAPT
Ticagrelor alone versus ticagrelor plus aspirin from month 1 to month 12 after percutaneous coronary intervention in patients with acute coronary syndromes (ULTIMATE-DAPT): a randomised, placebo-controlled, double-blind clinical trial
背景
急性冠症候群(ACS)に対するDES-PCI後の心筋梗塞・ステント血栓症予防の現標準は、1〜12ヵ月のアスピリンとP2Y12受容体阻害薬併用(DAPT)だが、単剤抗血小板療法を支持する向きも多い。
中国Nanjing Medical UniversityのChenら(ULTIMATE-DAPT)は、チカグレロル単剤(+プラセボ)使用とアスピリン+チカグレロル併用とを比較する国際RCTを行った(n=3,400, 12ヵ月)。患者は18歳以上のIVUS-ACS試験参加者で、DAPT後1ヵ月で重大虚血・出血イベントがなかった。一次優越性エンドポイントはBARC出血基準2/3/5の出血、一次非劣性エンドポイントはMACCEである。
結論
チカグレロル単剤使用はチカグレロル+アスピリン併用と比較して、BARC2/3/5出血率(一次優越性エンドポイント)が低下し(2.1% vs. 4.6%, HR 0.45)、MACCE率(一次非劣性エンドポイント)は同程度であった(HR 0.98)。
評価
TICO・TWILIGHT・GLOBAL LEADER諸試験が示唆してきた仮説を、初めての大規模RCTで検証した。説得的なエビデンスを提出して、ガイドライン転換力をもつ結果となったが、唯一の留保点は、参加患者の90%が中国人であったことである。