高齢AF患者でのジルチアゼムとアピキサバン ・リバーロキサバンの併用は出血リスク
Serious Bleeding in Patients With Atrial Fibrillation Using Diltiazem With Apixaban or Rivaroxaban
背景
アピキサバンまたはリバーロキサバンを投与中の高齢心房細動(AF)患者に対するジルチアゼムの併用が重篤出血リスクを増す、という報告がある。
アメリカVanderbilt UniversityのWayneらは、65歳以上(平均76.8歳)の患者204,155名を対象として、この問題を検討するコホート研究を行った。患者は、アピキサバンまたはリバーロキサバン新規使用者で、併用薬はジルチアゼムまたはメトプロロール、追跡期間は1年で、一次アウトカムは、出血関連入院と最近の出血を伴う死亡の複合である。
結論
ジルチアゼム治療患者での、メトプロロール治療患者に対する一次アウトカムリスク増を認めた(HR 1.21):出血関連入院(1.22)および最近の出血を伴う死亡(1.19)両リスクが共に高かった。このリスクは、ジルチアゼムの初回投与量が120mg/日を超えた場合、低用量の場合よりも大きかった。120mg/日を超える用量では、主要虚血性/出血性イベントのリスクが増加したが(HR 1.14)、いずれの用量でも虚血性脳卒中・全身性塞栓症・出血不関死亡のリスクには変化がなかった。
評価
重要な薬物間相互作用に関する模範的大規模観察研究で、二種のDOACとジルチアゼムの併用リスクを確定した。アピキサバン併用のリスクがより高い、とも言う。用量効果がみられるが、著者らは用量減量策は推奨していない。相互作用機構は、主に肝チトクロームP450-3A4(CYP3A4)経路を介するもので、この径路を外れるダビガトランへの変更は一策となりえる。


