高齢AF患者でのジルチアゼムとアピキサバン ・リバーロキサバンの併用は出血リスク
Serious Bleeding in Patients With Atrial Fibrillation Using Diltiazem With Apixaban or Rivaroxaban

カテゴリー
循環器、Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
April 2024
331
開始ページ
1565

背景

アピキサバンまたはリバーロキサバンを投与中の高齢心房細動(AF)患者に対するジルチアゼムの併用が重篤出血リスクを増す、という報告がある。
アメリカVanderbilt UniversityのWayneらは、65歳以上(平均76.8歳)の患者204,155名を対象として、この問題を検討するコホート研究を行った。患者は、アピキサバンまたはリバーロキサバン新規使用者で、併用薬はジルチアゼムまたはメトプロロール、追跡期間は1年で、一次アウトカムは、出血関連入院と最近の出血を伴う死亡の複合である。

結論

ジルチアゼム治療患者での、メトプロロール治療患者に対する一次アウトカムリスク増を認めた(HR 1.21):出血関連入院(1.22)および最近の出血を伴う死亡(1.19)両リスクが共に高かった。このリスクは、ジルチアゼムの初回投与量が120mg/日を超えた場合、低用量の場合よりも大きかった。120mg/日を超える用量では、主要虚血性/出血性イベントのリスクが増加したが(HR 1.14)、いずれの用量でも虚血性脳卒中・全身性塞栓症・出血不関死亡のリスクには変化がなかった。

評価

重要な薬物間相互作用に関する模範的大規模観察研究で、二種のDOACとジルチアゼムの併用リスクを確定した。アピキサバン併用のリスクがより高い、とも言う。用量効果がみられるが、著者らは用量減量策は推奨していない。相互作用機構は、主に肝チトクロームP450-3A4(CYP3A4)経路を介するもので、この径路を外れるダビガトランへの変更は一策となりえる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)