がん患者の食欲不振を抗うつ薬ミルタザピンで治療する
Mirtazapine as Appetite Stimulant in Patients With Non-Small Cell Lung Cancer and Anorexia: A Randomized Clinical Trial
背景
がん患者では、がんの診断という心理的要因に加えて、摂食中枢の異常もあって食欲不振が広くみられる。こうした食欲不振と悪液質はがんの進行に伴って増加し、生存期間の予測因子と考えられている。
メキシコNational Cancer Institute of MexicoのArrietaらは、三次がん治療センターの進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者を、8週間のミルタザピン(最初2週間では15 mgから開始し、最大30 mg)またはプラセボの投与へと割り付け、食欲(Anorexia Cachexia Scale)およびエネルギー摂取量への影響を評価するRCTを実施した(n=86)。
結論
4週後および8週後の食欲スコアに、ミルタザピン群とプラセボ群の差はなかった一方、ミルタザピン群では4週後のエネルギー摂取量が有意に増加していた(379.3 kcal)。この増加はタンパク質・炭水化物・脂質の各成分で認められた。ミルタザピン群では、8週後のサルコペニアが有意に減少した(82.8% vs. 57.1%)。
評価
ミルタザピン治療は、食欲スコアを変化させなかったものの、エネルギー摂取量を大きく増加させ、プラセボ群と比してサルコペニアも減少した。がん悪液質に対する治療として、より詳細に検討される価値がある。