血圧の上昇した脳卒中疑い患者へ病院前超早期降圧は無益か:INTERACT4試験
Intensive Ambulance-Delivered Blood-Pressure Reduction in Hyperacute Stroke
背景
急性期脳卒中では高血圧がしばしばみられ、予後不良と関連するが、急性期脳卒中患者でニトログリセリンによる病院前降圧を検証したRIGHT-2やMR ASAP試験では、介入が有害である可能性が示唆されている。
中国Tongji UniversityのLiら(INTERACT4)は、運動障害を呈し、収縮期血圧が150 mmHg以上に上昇し、発症2時間以内の急性脳卒中疑い患者を、130〜140 mmHgを目標とする血圧管理または通常ケアへと割り付け、90日機能アウトカムを比較するRCTを実施した(n=2,404)。
結論
2,240名では画像検査により脳卒中が確認され、うち1,041名(46.5%)が出血性であった。また、病院到着時の平均収縮期血圧は、介入群で158 mmHg、通常ケア群では170 mm Hgであった。
90日時点でのmRSスコアによる機能的アウトカムに差はなく(共通オッズ比 1.00)、重篤有害事象も両群同等であった。
病院前の降圧は、出血性脳卒中患者では機能的不良アウトカムのオッズを低下させる(共通オッズ比 0.75)一方、虚血性脳卒中患者ではオッズを上昇させた(1.30)。
評価
INTERACT3は、脳内出血患者における早期降圧を含むバンドルケアの有効性を示したものの(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(23)00806-1)、本試験では、脳卒中患者における病院前降圧はアウトカムを改善しなかった。
サブグループ解析をみると、出血性脳卒中グループのベネフィットが虚血性脳卒中グループによって打ち消されており、両者を区別し難いことが、病院前介入の役割を難しくしている。