電子オーダーエントリーの支援により不要な広域抗菌薬投与を減らす:INSPIRE試験
Stewardship Prompts to Improve Antibiotic Selection for Pneumonia: The INSPIRE Randomized Clinical Trial

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
April 2024
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開始ページ
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背景

コンピューター化された医師オーダーエントリー(CPOE)システムは先進国で広く普及しており、オーダーの効率化・適正化に寄与しているが、経験的な抗菌薬の過剰使用に対して有効な戦略を提供しうるか?
アメリカUniversity of CaliforniaのGohilらによるクラスターRCT(INSPIRE)は、コミュニティ病院59施設に入院した重症でない成人肺炎患者において、CPOEプロンプトとフィードバック・教育の組み合わせによる介入が、経験的な広域抗菌薬の使用を減少させるかを検証した。
CPOE支援群に割り付けられた施設では、多剤耐性菌への感染リスクを推定し、低リスクにもかかわらず、広域抗菌薬がオーダーされた場合、より狭域の標準的抗菌薬の投与を推奨するCPOEプロンプトが導入された。

結論

試験期間中に、96,451名の患者が肺炎で入院した。
CPOE支援群では入院後3日間における経験的な広域抗菌療法の日数が、ルーチン支援群と比して28.4%減少した。ICU転送までの日数(平均6.5日 vs. 7.1日)、入院日数(6.8日 vs. 7.1日)に差はなかった。

評価

同じ介入を尿路感染症について検証したもう一報とともに、JAMAに発表された(https://doi.org/10.1001/jama.2024.6259)。
CPOEによる患者個別のリスク推定に基づく使用支援により、安全性アウトカムを損なうことなく、不要な広域抗菌薬投与が削減された。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)