電子オーダーエントリーの支援により不要な広域抗菌薬投与を減らす:INSPIRE試験
Stewardship Prompts to Improve Antibiotic Selection for Pneumonia: The INSPIRE Randomized Clinical Trial
背景
コンピューター化された医師オーダーエントリー(CPOE)システムは先進国で広く普及しており、オーダーの効率化・適正化に寄与しているが、経験的な抗菌薬の過剰使用に対して有効な戦略を提供しうるか?
アメリカUniversity of CaliforniaのGohilらによるクラスターRCT(INSPIRE)は、コミュニティ病院59施設に入院した重症でない成人肺炎患者において、CPOEプロンプトとフィードバック・教育の組み合わせによる介入が、経験的な広域抗菌薬の使用を減少させるかを検証した。
CPOE支援群に割り付けられた施設では、多剤耐性菌への感染リスクを推定し、低リスクにもかかわらず、広域抗菌薬がオーダーされた場合、より狭域の標準的抗菌薬の投与を推奨するCPOEプロンプトが導入された。
結論
試験期間中に、96,451名の患者が肺炎で入院した。
CPOE支援群では入院後3日間における経験的な広域抗菌療法の日数が、ルーチン支援群と比して28.4%減少した。ICU転送までの日数(平均6.5日 vs. 7.1日)、入院日数(6.8日 vs. 7.1日)に差はなかった。
評価
同じ介入を尿路感染症について検証したもう一報とともに、JAMAに発表された(https://doi.org/10.1001/jama.2024.6259)。
CPOEによる患者個別のリスク推定に基づく使用支援により、安全性アウトカムを損なうことなく、不要な広域抗菌薬投与が削減された。