PSAによる前立腺がん検診、CAP試験が15年後にベネフィット示す
Prostate-Specific Antigen Screening and 15-Year Prostate Cancer Mortality: A Secondary Analysis of the CAP Randomized Clinical Trial
背景
CAP試験は、イギリスのプライマリーケア病院573施設を、50〜69歳の男性に対する前立腺特異抗原(PSA, 生検閾値3 ng/mL)による単回検診に招待または招待なし、の介入に割り付け、前立腺がん死亡率に与える影響を検証したクラスターRCTである(n=419,582)。
このテーマで行われた過去最大規模の試験であったが、10年のフォローアップ期間では両群の死亡率に有意な差は示されなかった(http://doi.org/10.1001/jama.2018.0154)。
イギリスUniversity of BristolのMartinらは、同試験の二次解析として、15年フォローアップの結果を報告した。
結論
前立腺がん診断の15年累積リスクは、介入群7.08%、対照群6.94%であった。
前立腺がんによる死亡は、介入群で1,199名、対照群で1,451名と介入群で減少した(率比 0.92)。PSA検診は、低悪性度がん(Gleason scoreが6以下)、限局性がんの検出を増加させたものの、中悪性度がん(GS 7)、高悪性度がん(8以上)、局所進行がん、遠隔転移がんの検出は増加しなかった。
全原因死亡率は、介入群で23.2%、対照群で23.3%と差がなかった(率比 0.97)。
評価
CAP試験の前立腺がん死亡率は、10年時点では有意差に至らなかったが、この15年フォローアップ解析においては介入群でのベネフィットが認められた。
とはいえ、ベネフィットは大きくはなく、全死亡率にも差がないことから、依然として潜在的な害とのバランスを考慮することが重要となる。


