セマグルチドの肥満HFpEF患者への有効性を示す:STEP-HFpEF DM
Semaglutide in Patients with Obesity-Related Heart Failure and Type 2 Diabetes
背景
セマグルチドはすでに血糖降下薬を超えて、抗肥満薬・抗心不全薬として認められてきている。
アメリカSaint Luke’s Mid America Heart InstituteのKosiborodら(STEP-HFpEF DM)は、左室駆出率保持心不全(HFpEF)でBMI30以上の2型糖尿病(T2D)患者に対するその心保護効果を検証するRCTを行った(n=616, 対照:プラセボ, 52週)。
一次エンドポイントは、KCCQ-CSSスコアのベースラインからの変化と体重変化である。
結論
セマグルチドの一次エンドポイント効果を認めた(KCCQ-CSSの変化は13.7ポイント vs. 6.4ポイント、体重の変化は、−9.8% vs. −3.4%であった)。6MWD等二次エンドポイントでも実薬が優った。重篤有害事象は実薬群の17.7%、プラセボ群の28.8%で発生した。
評価
先にNEJMで発表された非T2D患者で、STEP-HFpEF結果(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37622681/)を、T2D患者で再現したものである。予期された結果ともいえるが、エンドポイントイベント自体が少ない中で、高度に有意な効果を示した。NT-proBNP値の大幅低下も確認されており、「セマグルチドは心不全薬」というパラダイムが形成されつつある。