AI支援による読影は放射線科医でないユーザーで恩恵が大きい
Nonradiology Health-Care Professionals Significantly Benefit From AI Assistance in Emergency-Related Chest Radiography Interpretation
背景
胸部X線画像検査は、一次診断において重要な役割を果たすが、24時間対応の救急診療などでは、専門家による読影が利用できないにケースがしばしば発生する。
ドイツLMU MunichのRudolphらは、同大学病院の救急部門で撮影された胸部X線画像(n=563)について、認定放射線専門医3名、放射線科研修医3名、救急経験のある放射線科でない研修医3名により、支援なし、およびCNNベースのAI支援あり(オーバーレイによる追加画像の提供)で読影を行い、救急病棟におけるパフォーマンスを検証した。
結論
放射線科でない研修医では、AI支援によって検証された4種の病態(胸水・気胸・肺炎が疑われる浸潤影・肺結節)のすべてについてパフォーマンス・感度・精度の有意な改善が認められた。
認定放射線科医の信頼度スコアを元にした参照標準に対して、非放射線科研修医のコンセンサスによる気胸の検出は、AI支援なしで受信者動作特性(ROC)曲線下面積0.846であったのに対し、AI支援ありの場合0.974へと改善した(特異度を維持した状態で感度において30%、精度において2%の向上に相当)。結節の検出では、AI支援による改善が最も大きく、ROC曲線下面積は0.723から0.890へ、感度は53%、精度は7%向上した。
放射線科の研修医では、パフォーマンス・感度・精度とも、より小さく、概ね非有意な改善に留まった。
評価
予想される通り、AI読影支援の恩恵は放射線科でない医師において最大であった。24時間、速やかな臨床的意思決定が必要とされる救急部門では、遠隔読影と並んで、AI支援読影が大きな価値を持つことになる。


