心原性ショックを伴う急性心筋梗塞、Impellaの使用で死亡率低下:DanGer Shock試験
Microaxial Flow Pump or Standard Care in Infarct-Related Cardiogenic Shock
背景
心原性ショックは急性心筋梗塞の1割ほどで合併し、死亡率は4〜5割に達する。機械的循環補助デバイスの使用は理論的には支持されているものの、経皮的軸流カテーテルポンプ、Impellaのベネフィットは現在までのところ証明されていない。
デンマークCopenhagen University Hospital-RigshospitaletのMollerら(DanGer Shock)は、心原性ショックを合併したST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者を対象に、Impella CP+標準治療と標準治療のみを比較する国際共同RCTを実施した(n=360)。
結論
180日時点での全原因死亡率は、Impella群で45.8%、標準治療群で58.5%であった(HR 0.74)。
複合安全性エンドポイント(大出血・四肢虚血・溶血・デバイス不全・大動脈弁逆流の悪化)はImpella群の24.0%、標準治療群の6.2%で発生した(相対リスク 4.74)。腎代替療法はImpella群の41.9%、標準治療群の26.7%で実施された(相対リスク 1.98)。
評価
2013年から足掛け10年に渡り行われた試験で、Impellaの使用により死亡率が有意に低下することを実証した。STEMI関連心原性ショックにおけるImpellaの使用を支持するエビデンスとなるが、合併症はImpella群で増加しており、この点を考慮した効用分析は必要である。同じテーマでRECOVER IV試験も進行中である(https://clinicaltrials.gov/study/NCT05506449)。